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zoom RSS 「不動産登記記述式試験の対策について」:二階堂 洋生さん

<<   作成日時 : 2013/08/12 00:00   >>

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今年度の本試験の不動産記述式では,
別紙4の不動産(以下,乙土地という。)
についての申請書を記載する
第3欄の正答率があまり良くなかったようです

今回は,その原因をつきとめ,
それを踏まえて次年度以降の
不動産記述式試験の対策をどのように行うと良いか,
私なりに考えたことを述べていきたいと思います

その乙土地ですが,
所有者民事二郎による清算型遺贈に
抵当債務の弁済を絡めた問題であり,
本問で登記申請代理の依頼を受けた司法書士が,
最も少ない申請件数で登記を申請しているため,
申請すべき登記及びその順番は,
@相続による所有権移転登記
→A弁済による抵当権抹消登記
→B売買による共有者全員持分全部移転登記となります。

そして,乙土地について申請すべき登記は
これらの3件のみであるため,
第4欄は使用しないこととなります。

ところが,民事二郎は,
乙土地について自己名義の所有権移転登記を備え,
自己を債務者兼設定者とする
抵当権設定登記をした後に住所を移転し,
その後死亡しており,
登記記録上の住所と死亡時の住所が異なるため,
@の前提登記として,a.乙土地の所有者民事二郎の
所有権登記名義人住所変更登記が必要なのではないか,
といった疑問が生じるのも当然です

また,民事二郎は
乙土地に設定された抵当権の債務者としても,
旧住所によって登記されていたため,
A抵当権抹消登記の前提登記として,
b.債務者民事二郎の住所移転による
抵当権変更登記が必要になるのではないか,
また,c.債務者民事二郎の相続による
抵当権変更登記も必要になるのではないか,
といった疑問が生じるのも当然です

さらに本問では,
抵当権者有限会社甲乙丙興産が,
抵当権設定登記をうけた後に
株式会社甲乙丙興産へと商号変更をしているため,
A抵当権抹消登記を申請するにあたり,
登記記録に記載された抵当権登記名義人の商号
(有限会社甲乙丙興産)と
抹消登記の申請書に記載された登記義務者の商号
(株式会社甲乙丙興産)とに不一致が生じることから,
その前提として,
d.抵当権登記名義人氏名変更の登記が
必要ではないかという問題も生じます。

これらの問題点を解決するために
必要となる知識は以下のとおりです

「被相続人の登記記録上の住所と,
死亡時の住所が異なる場合,
相続登記の前提として,
被相続人の所有権登記名義人住所変更登記を申請する必要はない。…T」


相続による移転登記は登記権利者からの単独申請であり,
登記義務者と登記記録上の登記名義人の不一致の問題が生じえず,
登記名義人と被相続人の同一性は,
相続登記の添付書面によって証明すれば足りることから,
実務上このような取り扱いがなされているとのことです。

したがって,本問乙土地では,
上記aの民事太郎の
所有権登記名義人住所変更登記は申請不要となります。


「抵当権の登記を抹消するさいには,
たとえ債務者に変更が生じていたとしても,
変更登記を省略して,直接,抵当権の抹消登記を申請できる。…U」

抵当権の債務者の変更は,
抵当権の内容の変更であり,
本来であれば,登記すべき事項となります。

ところが,抵当権を抹消するさいにも,
その消滅前に生じていた権利変動について
変更登記を申請させるのはあまりに形式論的であり,
依頼者の費用負担の観点から妥当でなく,
さらに,抵当権変更登記を省略して,
抵当権抹消登記を直接申請しても,
登記の連続性についての問題は生じないことから,
実務上,このような取り扱いがなされているとのことです。

したがって,本問では,
上記bの債務者民事二郎の住所移転による抵当権変更登記及び,
cの債務者民事二郎の相続による抵当権変更登記の
2件の抵当権変更登記は申請不要となります。


「所有権以外の登記を抹消する際に,
申請書に記載された登記義務者の表示と
登記記録上の登記名義人の表示とが異なる場合であっても,
変更証明書を添付すれば,
抹消登記の前提としての名変登記を省略できる。…V」


これまでの検討により,
本問乙土地について申請すべき抵当権の登記は,
A弁済による抵当権抹消登記のみであることがわかり,
上記Vの先例を適用できるので,変更証明書を添付することで,
上記dの抵当権者株式会社甲乙丙興産の
商号変更による名変登記は申請不要となります。

乙土地について必要となる最小限の登記申請は,
冒頭で述べた通り,
@相続による移転登記
A弁済による抹消登記
B売買による移転登記のみであり,
第4欄は使用しない,と判断するには,
これらT〜Vの知識が必須であったように思います。

Vは先例であり,
過去問(平21)にも出題履歴があるので問題ないのですが,
TUは実務慣行レベルの知識であり,
試験対策としてこのような扱いに触れる機会は少ないためか,
受験生の方にはあまり認知されていなかったようです

わたくしは,今回の本試験で,
不動産登記記述式試験の
第3欄の正答率があまり良くなかった原因は,
この点にあるものと考えました

結局は,本年度の不動産記述式の問題は,
実務を知っていると解きやすい問題であったのではないかと思います。

司法書士試験が実務家登用試験であることから,
今後もこのような出題傾向が踏襲されることも十分に考えられます。

したがって,次年度以降の
不動産登記法の記述式試験の対策としては,
択一で頻出の重要先例レベルの知識を
書式の問題を解くさいにも利用できるように訓練しておくだけでなく,
実務慣行レベルの知識であっても,
答案のフレームを決定する際に重要なものについては,
書式プロパーの知識として
意識的に整理しておくことが必要になってくるものと考えます


二階堂 洋生

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