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zoom RSS Review「添付情報となる判決の正本と謄本」:筒井一光さん

<<   作成日時 : 2013/09/25 00:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 17 / トラックバック 0 / コメント 1

こんにちは,中島美樹です。

先日入門講座受講生に,「正本」と「謄本」の違いとは
と質問を受けました。
なんとなく分かっているような,分かっていないような,
今更聞けない内容かもしれませんね。

ということで,以前の記事に解説がありましたので,
今回はReviewをお送りします


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

〔質問〕

テキストなどの申請情報の記載例や,記述式問題の解答例を見ると,
添付情報として,判決書を添付提供する場合,
判決「正本」と書いてある場合と,
判決「謄本」と書いてある場合とがあります。

これらの違いは何ですか

また,記述式試験などでは,
これらを書き分ける必要がありますか


*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*

〔回答〕

判決による登記(不登法63T)の登記原因証明情報として,
判決書を添付する場合は,
判決「正本」を添付しなければなりません(令7TDロ(1))。

それ以外の場合,
例えば,権利の変更・更正・抹消登記の
登記上の利害関係人の承諾に代える
裁判があったことを証する情報(令別表25添ロ,26添へ)や,
法74条1項2号の所有権保存登記の
所有権証明情報(令別表28添ロ)として,
判決書を添付する場合には,判決「謄本」で足ります。

「正本」は「謄本」の一種であり,その内容は同一ですが,
記述式試験などで,
具体的書面の名称を摘示する必要がある場合には,
添付する判決書が「正本」なのか,「謄本」なのか
意識して書き分けられるように知識整理しておいたほうが
望ましいといえるでしょう。


*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*

〔解説〕

作成者が一定の内容を表示するために,
確定的なものとして,最初に作成した文書を,「原本」といい,
これに対して,
原本と同一の文字,符号を用いて,
原本の内容をそっくりそのまま謄写した書面を
「謄本」といいます。

原本を一定の場所に保存すべきことが定められている文書について,
その効力を他の場所で発揮させる必要がある場合があります。
(判決書や,公正証書がこれに当たります。)

その場合に,法令の規定に基づき,権限のある者によって,
特に原本と同一の効力を有するものとして,
作成された謄本の一種を,「正本」といいます。


しかし,これでは,謄本と正本の違いはわかりにくいですね。

もっと,わかりやすく具体的に判決正本と謄本の違いを言えば,
「右は正本に相違ない」との裁判所書記官の認証があるか,ないか
だけということになります。


では,なぜ登記申請書の記載例では,
これらが書き分けられているのでしょうか。

判決による登記(不登法63T)の登記原因証明情報は,
条文上,判決「正本」に限定されています(令7TDロ(1))。

これは,判決による登記が,
意思表示をすべきことを命じる判決(民執174)に基づく
広義の強制執行と観念されうるところ,
強制執行は,
債務名義の「正本」に基づき実施する(民執25本文)
と規定されているからです
(河合芳光著「逐条不動産登記令」p66)。

また,判決による登記の「判決」は,
確定していれば足り,原則として執行文は不要ですが,
一定の場合には執行文が必要となります
(民執174Tただし書,同UV等)。

執行文の付与は,
その債務名義により強制執行できる旨を
債務名義の「正本」に付記する方法で行われますから(民執26U),
判決による登記の登記原因証明情報となる
判決書は,やはり,「正本」でなければならないことになります。


「正本」は噛み砕いて言えば,
「正式な謄本」という程度の意味だとは思いますが,
私的自治や当事者共同申請という
民法や不登法の大原則を修正して,
申請当事者が関与しない登記を強制実現するには,
手続の形式上も,原本に準じる正式な文書が必要だ
ということなのでしょう。

これに対して,これ以外の場合,
例えば,権利の変更・更正・抹消登記の
登記上の利害関係人の承諾に代える
裁判があったことを証する情報(令別表25添ロ,26添へ)や,
法74条1項2号の所有権保存登記の所有権証明情報(令別表28添ロ)
として判決書を添付すべき場合には,
「正本」が,条文上要求されていません。

これは,これらの裁判の被告が,
登記申請の申請当事者となるわけではないため,
判決による登記の場合のように,登記申請行為を,
(広義の)強制執行とは位置づけられず,
申請を受けた登記官としては,
添付情報によって証明されるべき事実
(変更・更正・抹消登記の利害関係人に承諾義務があることや
未保存不動産について,原告が所有者であること)
について裁判所により確定的な判断が下されていることを
確認できれば,それで足りるからだと考えられます。

したがって,これらの場合には,
確定判決の「謄本」で足ります。


以上を踏まえると,試験対策上は,
「判決による登記」の登記原因証明情報を
判決「謄本」と特定し解答した場合には,
減点は免れないと考えるべきでしょう。


また,登記上の利害関係人の承諾に代える情報や,
74条1項2号の保存登記の所有権証明情報を,
判決「正本」と特定し解答した場合には,
「大は小を兼ねる」の理屈で行くなら,必ずしも誤りとはいえない
と思いますが,上記のような,
添付情報としての判決書に関する知識の理解が足りないものとして
減点されても文句は言えないでしょう。

したがって,
判決「正本」なのか「謄本」なのかが書き分けられるように
知識整理しておくのが試験対策上は安全といえます。


一通りの,判決書を添付すべき場合について,
判決の「正本」と限定があるか否かを
確認しながら条文を読んでおくとよいのではないでしょうか。


筒井一光

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
大変勉強になりました。正本と原本をなんとなくごっちゃにしてました。m(_ _)m
塾生
2013/09/25 01:53

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