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zoom RSS 「試験と実務の差異を感じさせる別紙6」:正橋史人さん

<<   作成日時 : 2014/07/10 00:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 26 / トラックバック 0 / コメント 2

受験生の皆様、司法書士試験お疲れ様でした

1年間この筆記試験を本気で目指してきた方にとっては、
今は休んでも良い時だと思います

本試験の結果の記述式も含めた詳細な分析は、
今週土曜日、日曜日に伊藤塾で本試験分析会がありますので、
そちらを受講して分析すると良いと思います。

講師もみなさんが分析会に出席されることを待っています

さて、詳細な分析については、分析会等にお任せするとして、
今年の不動産登記法記述式の別紙6について、
実務をやっている者の視点からの「感想」を述べたいと思います

※今回は、批判でもなんでもなく、あくまで「感想」であり、「実務をやっているとこのように感じる人がいる」というつらつら書いてあるだけですので、そう感じる人もいるんだ位の気持ちで読んでください。

まず、今回の不動産登記記述式の事案を読み解いていると、
@平成26年5月15日、根抵当権者が自ら物上代位による差し押さえをしている
(その時に元本確定(ただし、登記簿上明らかではない))
A根抵当権者は、根抵当権設定登記の後に商号変更等をしている。

ということがわかり、
その後、B当該根抵当権の被担保債権を完済した、

ので、
別紙6で「根抵当権解除証書」という書面が作成され、
内容として「〜平成年月日受付○○号をもって登記された下記不動産に関する根抵当権は、本日、弁済により消滅しました。」

とあります

で、表題は「根抵当権解除証書」で、内容が弁済証書ですが、
法的評価としては文書の表題よりも内容を重視するので
「弁済」で消滅させることになります。
ですから、
@根抵当権名変
A元本確定登記
B弁済による根抵当権抹消

となります

事実関係にも、11に「全額を弁済した。」ってあるし、
内容も弁済により消滅した。
とありますし、法律関係として正しい流れになっています。

で、ここで実務をやっている者の「感想」です

@実務ではここまであからさまに、
「文書の表題」と「文書の内容」が異なるのは珍しい

そもそも、なんでこんな記事を書いてるかというと、
このnext-stageで、
『実務では、「解除証書」という表題だけど、
原因を弁済として抵当権を消すことがあります。』
ということを書いたことがあるからです

↓みなさん覚えてないと思いますが、ここです
http://next-stage.at.webry.info/201402/article_11.html

しかし表題が「抵当権解除証書」とあって、
「〜抵当権は解除しました。」とあるのですが、
「解除原因  平成26年2月14日弁済」
などと書かれている書面が出てくることがよくあります
(他には、「平成26年2月14日弁済により解除しました」とかもある。)。

とまあ、どこかしら「原因は、弁済だけど(表題のとおり)解除なので」
みたいな雰囲気を醸し出しています。

本試験で、実務にあるような表現にしなかったのは、
解答を明確に出してもらうためだとおもいます

表題にとらわれず
内容をしっかりと見るべきということでしょう
(ただし、ここまであからさまに弁済証書だと
表題も弁済証書にして欲しいと思う気持ちは止められません。)

A「解除」と書いてくれれれば、余計な登記をしなくてもいいのに

 上記のリンクの記事に書いたように
>「弁済して、債務が完成されて
>附従性により抵当権は消滅した」わけだから、
>本当は「弁済」なんじゃないかなぁ、
>と思いながら書面のとおり
>「解除」を登記原因として登記を申請します。

と、いつも思いながら実務で抵当権抹消登記をしますが、
今回の登記は、「解除」が原因なら、
@根抵当権の名変
A元本確定登記
をやらずに、即根抵当権を抹消できたわけです
(理由はわかりますよね?)。

もちろん、上記@Aをして、
Bで「弁済」するのが正しいし、
申請件数が多い方が報酬が増えるけど、
お客さんの手間と費用が増えちゃうなあとも感じます
(事前に見積もりを出さなきゃいけないし)。

(別紙6の書面を出された場合、
実際は、金融機関が「元本確定登記」の
登記原因証明情報も一緒にくれればいいんだけど、
こちらで文案を作成することになりそう、とか、
「解除したのことにより根抵当権は消滅しました。」
という書面を改めて銀行にだしてもらうことを進言しようかな、
とか考えちゃいます。)

と、まあつらつらと書いてきましたけど、
上記の私の考えは試験内容外のことを
考えている部分が多いです

「実務」は「実務」、「試験」は「試験」です

試験では、試験に問われた形で、
その範囲内で解答を導き出す必要があります。

問題として、記述されていること以外のことを判断してはいけません
(実務をやっている受験生は、
無意識に実務に引っ張られる可能性があり
気を付けなければならない。)

試験問題上は、
書面上「弁済」と捉えられる様に作成されていますので、
そのとおり捉えて解答する必要があります

今回のこの出題は、
形式としては大分「実務」に近づけているけど、
それでも「試験」は「試験」で実務とは別のものであるということを、
試験が実務に近づけている分だけ、
その差異を感じさせられたなあ、
という感想を持った「別紙6」でした

前述しましたが、蛭町講師による詳細な解説は、
下記日程の本試験分析会にお越しいただければと思います


2014/7/12(土) 大阪梅田校  ライブ
13:00-16:20  
山村 拓也、蛭町 浩、高城 真之介、北谷 馨



2014/7/13(日) 東京校 (渋谷)
13:00-16:20
山村 拓也、蛭町 浩、小山 晃司、
高城 真之介、北谷 馨、中島 美樹、宇津木 卓磨



【補足】
説明が足りなかったかもしれませんので補足しますと、
実務では決済の場合には、
(根)抵当権抹消が必要な場合、
事前に(数日前)「抹消書類の確認」を絶対に行います

書類をFAXいただければよいのですが、
最近はFAXをもらえないので、
抹消書類の文言、登記識別情報の受付番号、
資格証明書が期限切れではないか、
代表者の氏名などを読み合わせしてもらうことになります。

その際に、根抵当権の場合の登記原因は非常に重要です

なぜなら、今回のように「弁済」だといろいろとあるからです。
 
で、抹消書類の文言を確認した際に、
「別紙6」のような「弁済」といわれたとすると、
「そうすると、(必死に考えながら)
@元本確定登記の登記原因証明情報
A元本確定の委任状
B根抵当権の本店・商号変更の委任状、
も必要となりますけどそちらはありますか?」
と聞く必要があるわけです。

そこで、堂々と「あります!」といわれた場合、
また改めて「@元本確定登記の登記原因証明情報」の
内容を読み合わせてもらうかをして、
@根の名変A元本確定B根の抹消をすればよいと思います
(ABC銀行はそういう意思だから)
(根抵当権で解除原因を弁済という書類を出すくらいだから、
あるかもしれませんね。)。

で、逆に「そんなのいるんですか?」と聞かれた
(ABC銀行が根抵当権が抹消できればいいと思っている)場合、
「(登記原因が解除の)根抵当権解除証書を出してもらえば、
それらの登記は不要ですよ。」
とお伝えすることになると思いますし、
それが実務での正しい姿勢だと思います
(弁済により消滅したことをことさらに強調する意味が無い)。

なぜそのような(原因が解除という)書式の
書類を出してもらえると思えるかというと、
根抵当権を設定するような金融機関には
「(登記原因が解除の)根抵当権解除証書」が
絶対にあるからです

根抵当権の元本が確定するというのは、
「根抵当取引が円滑に終わらなかった」場合です。

根抵当取引が被担保債権の弁済により円滑に終わり、
もう使うことがなくなった場合、
元本確定事由が発生しませんので、
「解除」により抹消するわけです。

つまり、根抵当権の場合の抹消事由は
「解除」が一般的です

だから、そういった書式の書面は出しやすいはずですし、
わざわざ「元本確定登記の登記原因証明情報」
なんと言うものを作成して、
書類を本部に稟議に上げて押印をもらうなんて
迂遠ことをするよりもよっぽどマシです。

とまあ、こんなことを本問を読んでみて、
妄想をしたのでした
(また無駄に長くて無用な文章を書いてしまった。。。)

結論として、無理やりまとめると
「試験」で問われる問題解決能力は、
あくまでも紙面上のミクロな世界のものであり、

「実務」で必要な問題解決能力は、
「試験」に必要な問題解決能力にプラスして、
関連諸法令、実務慣行(暗黙知)を考慮し、
ときにはクライアントの目的にそうように提案をしつつ、
「適法」に事案を遂行するというマクロな力なのかな(長い)、
と感じました。


正橋史人

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内 容 ニックネーム/日時
正橋先生の記事は、試験と実務とのつながりを感じさせていただける内容で、いつも大変興味深く、早く合格して実務をやってみたいとのモチベーションを頂いており感謝しています。

ちなみに、「長い」ことを少々気にしておられるむきもあろうかと思われますが、ここを訪れる方はみなさん受験でもっともっと読みにくくて長い文を読むことに慣れておられると思いますので、このぐらいなんとも思いませんよ^^ お気にされることなく、書きたいと思われることは全部書いて下さって結構です。次回も楽しみにしております。
塾生
2014/07/12 16:56
コメントありがとうございます!
「試験と実務とのつながり」とか、受験生にとっても実務家にとっても少しは役に立つようにとか、そういったことを意識して書いているつもりなので、そういっていただけると嬉しいです!

結論を決めて書いてなかったり、そもそも結論がでないことがわかっていて書いたりするので、どうしても長くなってしまうのです。

これからもよろしくお願いしますヽ(・∀・)ノ
正橋
2014/07/19 21:38

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