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zoom RSS 「法定相続分に基づく相続登記とはなんだろう」:正橋史人さん

<<   作成日時 : 2015/02/20 00:00   >>

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普段当たり前のようなことでも、
しっかりと考えるとよくわかっていなかったなぁ
と感じることがあります

最近「法定相続分に基づく相続登記とはなにか」
と考えることがありました

例えば、相続登記の依頼があり、
相続人が子のAさんとBさんだったとしましょう

依頼内容として
「遺産はこの土地・建物しかないですし、
法定相続分どおりの相続登記をお願いします。」
と言われたような場合、
AさんもBさんも協力的であれば、
特に遺産分割協議書を作らずに
登記申請をすることもあるのではないかと思います。

上記の依頼について、
より深く考えると、2つの解釈が考えられます

「@相続が発生したので、
とりあえず遺産共有の状態の相続登記を入れたい」

「A相続が発生したけど、
相続人間の話し合いにより法定相続分通りで相続すると決定した
(遺産分割が成立した)ので、その相続登記を入れたい」

と書いてみましたが、
一般の人が@のつもりで依頼することはないでしょうし、
そのような認識もないと思われますから、
Aと解釈して登記を申請することになるでしょう

その際に、
やはり遺産分割が成立していると解釈できるので、
本来的には「遺産分割協議書」を作成し、
それをいわゆる「相続証明書」の一部として、
相続登記申請をすべきところですが、
登記手続上は、
法定相続分に基づく登記申請をする場合には、
「遺産分割協議書」を添付することなしに、
それと同一の公示状態の登記を入れることができるので、
「遺産分割協議書」を添付することなく
登記申請をすることもあり得るということになります

もちろん、
相続人全員から委任状はもらうことになりますから
(登記識別情報の関係と遺産分割の意思確認の関係)、
結局、遺産分割協議書作成と実印押印、
依頼人の印鑑証明書取得の負担を軽減するのみの
事務負担の軽減にしかならないわけで、
本来的には遺産分割協議書を作成しておくべきなんでしょうね
(もっとも、諾成契約(的)ではある)。。。

とまあ、ここまで書いておいて何が言いたいかというと、
「じゃあ、いわゆる遺産共有状態である
法定相続分の登記を入れる場合なんてあるのだろうか」
ということです

法定相続分というのは、
「遺産分割をするための基準となる相続分」です。

この法定相続分を基準として、
民法906条では、
「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、
各相続人の年齢、職業、心身の状態及び
生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」
等としていますが、
「相続人全員の同意」があれば、
遺産分割が可能な財産であれば
どのような分配をしてもかまいません

とすると、民法第900条、民法906条等の規定はまさに、
家庭裁判所などでの調停などの場合
「裁判規範としての規定」の典型例と言えます。

もっとも、相続分は特別受益という
事実行為によって変動することもあります。
(もし、特別受益がある状態で
「法定相続分による遺産共有状態」の相続登記を入れたとすると、
それは不実の登記であるといえるでしょう(大げさかもしれませんが、
権利関係を「正確」に反映していないという意味でです。)。)

結局、遺産共有状態の登記というものが
暫定的なものである以上、
「なんらかの必要性がある場合にのみ、
一応便宜的に法定相続の登記を入れておく」ものであり、
その実情は特別受益の事実が判明しない以上は、
公示状態としてかなり不安定な登記である
といえるのではないかと思います

現実的に考えて、このような
「遺産共有状態である法定相続分の登記を入れる場合」とは、
被相続人又は相続人の債権者が差押えの登記を入れるために、
債権者代位により法定相続の登記を
入れる場合くらいなのではないでしょうか?

その場合においても、債権者としては裁判所に対し
「相続放棄がないこと」は調べるでしょうが、
「別途遺言が存在すること」
「特別受益の事実がないこと」までは調べる手段がないでしょう
(債権者としてはその必要性もない)から、
やはり権利上は不安定な登記であることは間違いないと思います。

だからこそ、遺産分割後に登記を行う場合は
共同相続の登記を省略できることになっているのでしょう

難しいのは、
@「遺産共有」の状態は、
暫定的なものであるのは疑いのないものだと思いますが、
その一方で、
A「共有状態」に異ならない(合有とは解されていない)
とされている点(だから処分行為も可能)で、
私は、どこかそれが二律背反のような状態のように感じます。

私としては、
「法定相続分による遺産共有状態の登記」は、
どちらかというとフィクションに近いように思えるのです
(特別受益の事実がある可能性を勘案すると、
実体と異なる状態を公示することになるため)。

「法定相続分による登記」は申請することが多いですが、
その中の「遺産共有状態の場合」の登記は、
その性質上やはり暫定的なものであり
不安定なものなのではないかなぁ、というお話でした


正橋史人


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