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zoom RSS 「権利能力なき社団から当事者能力と当事者適格を整理する」:宇津木卓磨先生

<<   作成日時 : 2015/02/26 00:30   >>

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皆さんこんにちは

今回は皆さんが既にご存知の
権利能力なき社団の平成26年判例を題材にし、
初学者が混乱しやすい
民事訴訟手続の当事者能力と当事者適格を
少し整理してみたいと思います

まず、当事者能力を一言で言えば、
「およそ訴訟に当事者として登場できるのは、
どのような人か」ということです。

訴訟では権利関係の紛争に
法律を適用して裁判をするのであり、
誰でも権利義務は持つことが可能ですから、
誰でも訴訟の当事者になることができます。

民法の『権利能力』との対応を考えれば、
民事訴訟法は、
「当事者能力は民法その他の法令に従う」
(民訴29条)のが原則と定めていますが、
民法の条文のどこを見ても
訴訟の当事者能力の規定はありません。

すなわち、民法上の権利能力をもつ者は
すべて当事者能力があるということと解釈することができます

ここで混乱が生じやすいのが、
民法上の権利能力をもっていないのに
民事訴訟法上の当事者能力をもつ者がいるということです。

これが「権利能力なき社団」です。

実質的に社団または財団としての実態を備えているが、
法人格を持たず、したがって権利能力のない社団のことを
「法人格のない社団・財団」または
「権利能力のない社団・財団」と定義付けます
(我妻・有泉コンメ民法第3版P148)。

皆さんが既に学習したように、
権利能力なき社団には民法上の権利能力はありません。

民法上の権利能力がないということは、
当事者能力がないように見えますが、
民事訴訟法29条で
「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、
その名において訴え、又は訴えられることができる。」
で規定されていることから権利能力なき社団には一定の要件のもと、
当事者能力が認められているのです

民法が規定していないのに、
民事訴訟法がこんな規定を置いたのは何故かという問に対しては
以下の具体例で考察しましょう

例えば、『くつろぎの里・庄屋料理研究会サークル』
という数百人規模の権利能力なき社団があるとします。

このサークルはA株式会社から
高額な調理器具を購入していましたが、
まだ代金を支払っていません。

このサークルは法人格がないので、
法的には個人の集まりに過ぎません。

そうなるとA株式会社に対する債務は
構成員全員で負うことになります。

A株式会社が「金払え」と訴えを提起する際に
被告として何百人単位の構成員を
被告として訴えを提起する他ないのかというと、
そんなバカなことはなく、
民訴29条を用いて、サークルの代表者さえ把握できれば、
その団体を被告としてA株式会社が訴えを提起し、
判決を受け、サークルの財産に強制執行していくことができるのです。

その権利能力なき社団ですが、
皆さんが既に常識の知識となっているように、
登記の名宛人(表題部所有者・登記名義人)になることはできません。

そのことから、
例えば権利能力なき社団Xが不動産をYから買い受けたが、
所有権移転登記手続きに応じない場合に、
権利能力なき社団X自身が、
自ら原告となりYに対し所有権移転請求訴訟を起こすことは
できないのではないかという論点が出てくることは容易です。

当事者能力と異なり、
「誰が誰を訴えるのが正しいのか」
といったイメージが当事者適格の問題です

この問題について言及した最高裁判決はなく、
下級裁判例も見解が割れていました

そして、この問題に一定の決着を付けたものが以下の判決です

権利能力のない社団は,
構成員全員に総有的に帰属する不動産について,
その所有権の登記名義人に対し,
当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを
求める訴訟の原告適格を有する(最判平26.2.27)

この判決は権利能力なき社団に被告適格が認められるのではなく、
あくまでも原告適格が認められるとしているので注意しましょう

今後の動向に注目です

判旨は、長くなってしまうのでここには掲げませんが、
当該判決は本試験に出題される可能性も多いにありますので
結論だけでも押さえておくとよいでしょう。

このように混同しやすい複数の論点も、
一つの判例から「何が問題となっているのか」
ということを解きほぐせば、
整理しやすくなるのではないでしょうか。

皆さんのお役に少しでも立てれば幸いです


宇津木卓磨

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