Next-Stage

アクセスカウンタ

zoom RSS 「想定外の緊張」:山口岳彦さん

<<   作成日時 : 2015/06/12 00:00   >>

ナイス ブログ気持玉 21 / トラックバック 0 / コメント 0

1.はじめに

無難に対応できるであろうレベルまで準備したのに、
いざ本番となると予想に反して
ものすごく緊張する体験をしました

不動産取引の決済立会です

予想外のピンチはあったものの何とか対応できました

これは、司法書士試験に合格した年までに身に着けた
「危機管理」のおかげだと思います。

2.決済立会とは?

司法書士事務所の勤務経験のある方や、
不動産の売買を経験されたことのある方にとっては
釈迦に説法で恐縮ですが、
馴染みがない方のため説明します

不動産売買は、
売主が仲介業者を通じて販売するパターンが多いです
(買主側にも仲介業者がいる例も多いです)。

1件の取引で買主が物件に興味を持ってから完了まで、
数か月かかるのが一般的です。

契約締結から決済までの間にも時間があります。

通常、契約時にある程度の手付金が授受されます。

決済とは、契約上の義務を
お互いにすべて履行・清算すること、と考えましょう

売買契約に当てはめると、決済とは、売買の当事者において
@買主は残代金全額を支払い、
A売主は目的物を引渡し、
B両者共同して所有権移転登記を申請する
(買主が所有権保存登記も)
ことを意味します。

更に、付随的・周辺的なことも含めると、
C売主が名変登記を申請する
D売主がローンを払い終えていない場合で
売却代金を弁済に充てて抵当権を抹消する場合には、
抵当権者とともにその抹消登記も申請する
E買主がローンを利用する場合には
抵当権者となるべき者と抵当権設定登記を申請する
F仲介業者への仲介手数料を支払う

これらC〜Fもまた
不動産売買の「決済」の場で
当事者等がやらなければならないこと、
と位置付けられています

@〜F全部あるケースも決して珍しくはありません。

名変→抹消→移転・保存→設定
の4or5件の連件申請は日常茶飯事です。

3.司法書士の役割

ここで、司法書士がなぜ決済の場にいるのか、
その役割を考えてみましょう。

上述の決済の場でやることを@〜Fまであげました

その中で、「登記を申請する」というのが4回出てきます。

登記を申請する場所は、法務局です

しかし、決済を法務局のベンチが並んでいる
待合室でやっている当事者を見たことは、
一度もありません

抵当権設定がある場合には
融資銀行の会議室でやるように、
取引関係者が一同に集まれる場所でやるのが一般的です。

すると、決済のために
皆様が集まっているその場では登記申請はせず、
登記申請関係書類を司法書士が預かって、
「決済の後」に、
みんなが「今日はおめでとうございました」
「ありがとうございました」などと笑顔になってから、
司法書士が登記を申請しに行くのです
(ノートパソコンを使ったオンライン申請を除く)。

「決済」には登記申請も含まれますが、
実際には「決済のその場」で申請することは極めて稀です

決済の場では
「登記に必要な書類を引き渡す」ところまでです。

司法書士が書類の内容を確認し、
「登記申請に必要な書類を確認できました。
決済を進めてください。」と宣言すると、

@融資銀行から買主に貸金が振り込まれ、
A買主が売主に代金を振り込み、
B売主が抵当権者に弁済
します
(権利が動く方向と、お金が動く方向が、逆なのです!)。

動くお金と目的物は、
10円のうまい棒や30円のベビースターラーメンではありません

1000万円の中古マンションや、
3000万円の土地です。

もっと高い物件の取引もいくらでもあります

司法書士の確認ミスで万が一登記が通らなかったら?
それでもお金は支払われています。

融資銀行が出したお金、誰が責任を持って返しますか?

売主が実は偽者で物権変動がなく
後日真の所有者が出てきたら?

お金を払ってしまった買主の損害を誰が賠償しますか?

誰がその責任を取るべきかは
事案によりけりかとは思いますが、
このような取引事故が起こると、
「取引の安全」を担保し、
確実な登記申請により
当事者の権利を守る役割を期待された
司法書士が無傷でいることは難しいと覚悟すべきです

4.ついでに過去問の話

決済の場では
「登記に必要な書類を引き渡す」だけだ、
という表現をしました。

よく勉強されている受験生の方でしたら、
「おっ、聞いたことあるフレーズだ!」
とお気づきでしょうか。

そうです。

代物弁済の効果として債務が消滅するのはという話で、
「登記に必要な書類を引き渡」した時、
のような知識がありました

代物弁済契約の「決済」の場でも、
即、登記を申請するわけではなく、
申請は司法書士がその日のうち、
少し後、法務局に移動してからやるのです。

決済から登記申請のイメージは、
この過去問知識につながっていきます

5.想定外の緊張

話を元に戻します

一人で初めて行った決済立会は
「先輩たちがやっているのを横で何度も見せてもらったし、
案件も単純だし、自分としても何回かイメトレしたから、
大丈夫だ、緊張するわけない」と、
直前まで思っていました

ところが、現場に行ってみると
想定外のことが起こりました

司法書士倫理の秘密保持義務があるため
具体的には言えませんが、
ちょっとしたトラブルがありました

そこは何とか乗り越えましたが、
いざ始まってみると物凄く緊張して声がうまく出なくなりました

6.自分で作っておいた助け舟に救われた

前日、念には念を入れて準備しました

A4の紙1枚でチェックシートをつくって持参しました。

当事者、申請する登記、
各当事者について必要な添付情報の一覧、
添付情報のチェックしなければならないポイントを
一つ一つたどれば完璧な書類チェックができる物でした。

現場で司法書士は私一人です

みんな、私が書類を確認し終えるのを、
こっちを見て待っています

「これで登記できます。決済どうぞ」の一言で、
巨額の振込みが行われます

間違えて決済を進めさせてしまい、
印鑑証明書が3か月過ぎていたりしたら
大変なことになります

次に何をすべきかわからなくなることが何度かあり、
そのたびに自作チェックシートを見て、
一個一個確認しながら進めました。

「このレベルの仕事なら大丈夫でしょう」
と思いつつも念のため作っておいた
助け舟に救われたのでした

思えば、司法書士試験の受験を経験する
以前の自分にはこのような慎重さはありませんでした

年に一度のあの厳しい試験、
自分の戦い方をまとめた「手順書」、
「連想ツール」、「弱点補強シート」、
このような自分を助けるための
お守りを作る習慣ができていました。

受験時代に先生から授かったノウハウの中には、
実務に出てから自分を助けてくれるものも
あることに気が付いたのでした。

本試験前日までに
自分にとってのお守りを完成させた人は、
本番でも強いと思います

7.「ばんふく事務所のブログ」のご紹介

蛇足ながら、個人ブログを始めました。
http://ameblo.jp/wf-legal/ 
(ばんふく事務所のブログ)

NSでは司法書士&司法書士受験生向けに発信すべき情報を、
個人ブログでは世間一般に向けて伝えたい情報をと、
書き分けています

受験に直接役立つ情報は少ないですが、
「実際の司法書士」
つまり「受験生の皆様の将来像」は
イメージできると思います

息抜きを兼ねた参考情報として
ご紹介させていただきました


山口岳彦

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 21
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「想定外の緊張」:山口岳彦さん Next-Stage/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる