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zoom RSS 「制作の現場から」:二階堂洋生さん

<<   作成日時 : 2012/12/13 00:01   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 50 / トラックバック 0 / コメント 2

みなさん,初めまして

伊藤塾司法書士試験科で,
記述式講座向けの教材制作を担当しております,
二階堂と申します

今回は,教材を制作しながら,
私が考えたことを書いてみたいと思います。

受験生の皆様に,
記述式試験攻略のための
参考にしていただければ幸いです

伊藤塾では,年明けから,
記述式試験の過去問分析講座の開講を予定しています。

私は,現在,
上記講座で使用する教材を制作するために,
過去問の編集作業を行っています

そして,私の部署には,
校正スタッフのTさんという方がおります。

私は,Tさんと仕事をさせていただいておりまして,
Tさんはいつも鋭い指摘をして下さいます

つい先日,Tさんに
平成8年過去問の再現問題を見ていただいたところ,
次のような指摘がありました。

「別紙1の登記事項証明書に記載された,
1番根抵当権の債務者である
「株式会社トウサン」と,
2番抵当権の債務者である
「株式会社トウサン」の住所が異なる

これだと,1番根抵当権の
債務者変更登記も必要なのでは
と言うのです。

確かに,再現問題の登記記録を見ると,
Tさんの指摘のとおり,
2つの「株式会社トウサン」の
住所の記載が異なっていました。

この問題では,
「株式会社トウサンが,不渡手形を出して倒産し,
(1番根抵当権者である)
株式会社たいよう住宅金融との取引が終了した」

「その後,東山和男が
1番根抵当権の被担保債務の全額を,
根抵当権者に代位弁済した」

「同一不動産に設定されていた,
2番抵当権の債務者も「株式会社トウサン」であった。」
という事例設定になっています。

ここで,前提知識が必要となるのですが,
平成15年改正民法の施行前においては,
本問事例のように,根抵当権者との取引の終了も
元本確定事由とされていました
(旧民法398条の20第1項第1号参照)。

したがって,1番根抵当権債務者
「株式会社トウサン」が倒産したことにより,
1番根抵当権の元本が確定するため,
また,当該事実は
登記記録から明らかとならないため,
本問においては,
「1番根抵当権元本確定登記」→
「代物弁済による1番根抵当権移転登記」
を申請すべきことになります

ところが,先に述べたとおり,
1番根抵当権の債務者である「株式会社トウサン」と,
2番抵当権の債務者である「株式会社トウサン」の
住所の記載が異なるために,
1番根抵当権債務者と2番抵当権債務者の
住所が異なる原因を考えなければならないことになります。

仮に,1番根抵当権の登記後,
2番抵当権の登記前に,
株式会社トウサンが本店移転していたためである
と考えたとしましょう

すると,Tさんご指摘のとおり,
元本確定登記と根抵当権移転登記に加えて,
1番根抵当権債務者変更の登記も
申請すべきことになります

ところが,
これら3件の登記をすべて申請しようとすると,
解答欄が足りなくなってしまう
という問題が生じてしまいます

もし,本問の登記記録を読んだときに,
「株式会社トウサン」の
住所が異なっていることに気がつかなければ,
「1番根抵当権元本確定登記」→
「代物弁済による1番根抵当権移転登記」,
すなわち,下記のとおり,
出題者が意図したであろうと思われる答えを,
何らの迷いもなく答案用紙に書くことができます。

ところが,もしこの問題点に気付いてしまい,
上で述べたようなことが頭の中を巡りだし,
果たしてどのように答案を書けばよいのだろうと途方にくれ,
ペンを持つ手が止まってしまったとします。

さて,このような場合,どうすればよいでしょうか。

このように,本試験の問題は,
必ずしも厳密につくられているとは限らないため,
問題文をよく読むと,
かえって,出題者はどのような答えを「正解」
と考えているのかがわからなくなってしまうことが,
時々起こりえます

このような場合には,
問題文や別紙の個々の記載からはいったん離れて,
問題全体を鳥瞰し,
出題意図を推し量るようにしましょう。

そのためには,
依頼者が何を求めているのかという視点から
問題を考えてみるとよいでしょう。

本問では,東山和男ほか関係当事者が,
司法書士のもとに登記申請を依頼しにやってきたのは,
1番根抵当権の被担保債権を代位弁済した東山和男が,
その登記名義を,
自己名義に移してほしいと考えたからです。

そして,
代位弁済による根抵当権移転登記を
実現する前提として必要となるのは,
元本確定登記です。

このように考えれば,本問においては,
出題者は,これら2件の登記を
,「元本確定」「移転」の順で申請することをもって,
「正解」とするものと考えているのではないか
と推察することができます

ここでは,平成8年の例をあげましたが,
このように本試験問題では,
問題文が曖昧であるものや,
不正確であるものがときどき見受けられます

最近では,
共同申請の当事者の片方からしか
司法書士が登記申請の依頼を受けていなかったり(平19),
共有者の1人が自己の持分に抵当権を設定したのち,
新たに取得した持分に
抵当権を追加設定するための契約書の表題が
「抵当権『変更』契約」書となっていたり(平22)
という出題がありました

これらは,現場で気がつかなければ,
何の問題も生じないのですが,
問題文を注意して読んでいたために,
このような問題点に気づいてそれが気になってしまい,
そのため実力を発揮することができなかった
という体験談もよく耳にします
(平成19年のほうは,私もそうでした)。

本番で,
このような不幸を起こさないようにするためには,
通常の書式の勉強と並行して,
出題者の意図を推し量る訓練を
しておく必要があると思います。

残念なことに()受験指導機関においては,
このような曖昧な出題をしないように
万全を期して記述の問題を作成しておりますので,
このような本試験独特の
出題の曖昧さに対応するための訓練には,
受験指導機関作成の問題よりも,
過去問を用いられたほうが効果的かと思います。

みなさんも,過去問を検討する際には,
上に述べたように,
出題者の意図を推し量る訓練を
実践されてみては如何でしょうか


二階堂 洋生

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 にっくん、こんにちは
 とても読みやすくて、ためになる記事ですね
 ただ...3年前に書いてほしかったぜ
小川豊
2012/12/13 23:26
小川先生コメントありがとう御座います。
ちなみに,3年前は私も受験生でした。
二階堂 洋生
2012/12/17 23:59

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