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zoom RSS 「制作の現場からA」:二階堂 洋生さん

<<   作成日時 : 2013/01/07 00:01   >>

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新年明けましておめでとうございます

伊藤塾で司法書士試験科の
教材制作を担当しております,二階堂です

今回で2回目の投稿となりますが,
前回は,本試験の記述の問題は,
必ずしも厳密につくられているとは限らないこと,
あいまいな問題文に対処するためには,
出題者の意図を推し量るようにするとよいことを
申し上げました

そして,前回は
平成8年の本試験の再現問題を題材として,
出題者の意図を推し量るためには,
依頼者が何を求めているのかという視点から
問題を考えてみるとよいと申し上げました

今回は,平成5年の本試験の再現問題を題材として,
出題者の意図を推し量るにはどのような方法があるのか,
前回に引き続き考えていきたいと思います。

さて,先日,過去問の編集作業のさいに,
平成5年出題の本試験記述の再現問題を検討していたところ,
いつも鋭い指摘をしてくださる,
校正スタッフのTさんから,
次のような指摘がありました

「根抵当権の極度額の増額変更について,
利害関係人の承諾を得られた日付が問題文に記されていない。
これでは,根抵当権の極度額変更の
原因日付を特定できないのではないか。」

この問題では,
別紙3に「根抵当権譲渡並びに変更契約書」
というものが掲載されており,
そこから,1番根抵当権について
極度額の増額変更契約がされていることがわかります

ところが,Tさんご指摘のとおり,
利害関係人の承諾を得られた日が明記されていませんでした
(本問の場合は,
2番根抵当権者である新都市ファイナンス株式会社と,
3番抵当権設定仮登記の仮登記名義人佐藤四郎が,
極度額増額変更についての利害関係人にあたります)。

皆さんご存知のとおり,
根抵当権の極度額変更は,
利害関係人の承諾が
実体上の効力発生要件となるため(民398の5),
極度額変更による根抵当権の変更登記の原因日付は,
極度額の変更契約の日付と,
利害関係人の承諾のあった日付のうちの
いずれか遅い方の日となります

そのため,厳密に考えれば,
利害関係人の承諾があった日付が判然としなければ,
極度額変更の効力発生日も明らかとならないため,
根抵当権の変更登記の原因日付も
特定できないことになります。

前回申し上げた,
本試験問題の曖昧さゆえに,
問題文をよく読むと,かえって,
出題者はどのような答えを「正解」と考えているのかが
わからなくなってしまうという,あのパターンです

それでは,出題者は,
いつを原因日付とするのを
「正解」と考えているのでしょうか

結論から申し上げますと,
出題者は,上記別紙3の
変更契約締結の日を原因日付とすることをもって
「正解」と考えているようです。

では,なぜそのように言えるのでしょう。

考え方のひとつとして,
利害関係人の承諾を得られた日を特定しない限り,
申請書は書けないので,
極度額変更契約と同日にもしくは
予め承諾が得られているものと決め打ちして,
当該契約の日を原因日付とせざるをえない
というのも十分ありうるでしょう。

しかし,せっかくなので,
もうすこし深く平成5年の本試験問題を分析したうえで,
出題者の意図を考えてみましょう

前回も申し上げたとおり,
このような場合には,
問題文や別紙の個々の記載からはいったん離れて,
解答欄も含め問題全体を鳥瞰しましょう。

すると,本問では,
別紙3の「根抵当権譲渡並びに変更契約書」から,
すでに述べた極度額変更契約と同一機会に,
根抵当権の全部譲渡契約と
被担保債権の範囲の変更契約が
なされていることがわかります

さらに,答案用紙の再現からは,
別紙3の契約から生じる根抵当権の権利変動について
用意されている解答欄は2つであることがわかります。

ここで確認ですが,
同一不動産につき複数の権利変動が生じた場合,
それぞれの登記を別個に申請するのが原則ですが,
登記の目的及び登記原因
並びに原因日付が同一の場合には,
それらの登記を
1つの申請情報により申請できることになります

本問では根抵当権につき,
@全部譲渡,
A被担保債権の変更,
B極度額の変更と3つの権利変動が生じています。

これらについて登記する場合,
登記の目的は,
それぞれ@移転登記,
A変更登記,
B変更登記となります。

これらの登記につき,
解答欄が2つしか用意されていないこと,
@の登記は他の2つと登記の目的が異なるため,
ABとは別個の申請書にて申請すべきであることから,
ABの登記は,必ず,
1つの申請書にて申請することを要することとなります。

そして,これらの登記を
1つの申請書にて申請するためには,
原因日付が同一であること,
すなわち,B極度額の変更が,
A被担保債権の変更契約と同じ
7月7日に生じていることが必要となります

そのためには,
極度額の増額変更についての利害関係人の承諾が,
本問の契約
(すなわち別紙3の被担保債権の変更契約・極度額変更契約)
と同じ7月7日もしくはそれ以前に
得られていることが必要となります

このように考えることで,
極度額の増額変更について利害関係人の承諾が,
変更契約と同一の日
もしくはそれ以前に得られているという想定のもと,
この問題は作られていたのだろうという
出題者の意図が浮かび上がってくるのです

今回,Tさんのご指摘がきっかけで,
平成5年の本試験問題の分析により,
私が認識することができたこと,
そして,受験生の皆様にお伝えしたいことは,
次の2点です

まず,根抵当権の極度額の変更のように,
利害関係人の承諾が
登記原因の効力発生要件となる場合は,
本来であれば,その承諾が得られた日が,
原因日付に影響を及ぼすことになるため,
書式の問題を解くさいには,
利害関係人の承諾の日付を
確認するのを忘れないようにしましょう

また,記述の問題を解く際には,
まず申請すべき登記の件数,
申請の順番,
そして登記の目的及び登記原因
並びにその日付を確定させてから
細部を検討するようにしましょう

たとえ,登記申請日が
複数設けられている場合であっても同じです。

平成5年の本試験問題でみたように,
申請すべき登記の件数や登記の目的を考えると
出題意図が見えてくることが多いからです。

そして,記述式の問題で
基準点を割らないようにするためには,
このように出題意図を把握してから,
問題の細部を検討する必要があると思います

これは上記平成5年の本試験問題や,
前回の最後の方でふれた
平成22年の本試験問題のように,
問題文があいまいもしくは不正確である
本試験問題を解くときのみならず,
すべての記述の問題を解くときに
必要な心構えであるといえます。

さて,前回と今回の2度の投稿にわたり,
記述式の問題を解くには,
出題意図を把握してから,
問題の細部を検討するとよいと申し上げました

また,
平成5年と平成8年の本試験問題を題材にして,
出題意図を把握するには,
依頼者が何を望んでいるかという視点から
問題を考えるという方法があること,
申請すべき登記の件数や
登記の目的に着目するという
方法があることを申し上げました

これら2回の投稿で私が申し上げたことが,
受験生の皆様の記述式試験攻略のための
道しるべとなれば幸いです


二階堂 洋生

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