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zoom RSS 「制作の現場からB〜昭和時代の不動産過去問から学ぶ〜」:二階堂 洋生さん

<<   作成日時 : 2013/02/02 00:00   >>

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近年の本試験の不動産記述のうち,
もっとも得点するのが困難であったのは,
平成20年の問題でした

この年のポイントとなる論点は次の2点でした

まず1つめの論点として,
元本確定後の根抵当権の被担保債権の
譲渡により根抵当権が移転したため,
前提としての元本確定登記の
申請書の作成が問われていました。

ただし,根抵当権者が本店移転しているため,
元本確定登記の前提として,
根抵当権登記名義人住所変更登記の
申請書も作成する必要がありました。

また,申請すべき登記の件数が問題文中において
明らかにされていなかったこともあり,
根抵当権登記名義人住所変更登記を申請すべきことを
看過しやすい出題形式となっていました

そして2つめの論点として,
抵当権者が,合併により承継取得した
抵当権を放棄するという事例であったため,
抵当権抹消登記の前提としての,
合併による抵当権移転登記の
申請書の作成が問われていました。

ただし,吸収合併消滅会社である抵当権登記名義人
「株式会社大日本クレジット」を吸収合併した
存続会社「株式会社富士クレジット」が,
合併と同時に消滅会社と同一商号である
「株式会社大日本クレジット」に商号変更するという事案であり,
抵当権の承継取得の前後で,
抵当権者の商号が同一であったため,
合併により抵当権に承継取得が生じていることを
読み取ることがやや困難なものとなっていました

そして何より,平成20年は,
その前年までと異なり,
登記すべきであるすべての事項を
別紙から読み取らせるという出題形式がとられており,
本問のポイントとなる元本確定登記の前提としての
根抵当権者の本店移転の事実,
抵当権抹消登記の前提となる抵当権者を消滅会社とする
吸収合併の事実を別紙登記証明書から読み取る必要がありました。

当時の受験生は,
このような出題形式に慣れていなかったためか,
この年は不動産書式0点答案が続出しました

私も,根抵当権登記名義人住所変更登記を看過してしまい,
この年の合格を逃しました。

今でも,平成20年の過去問を見るたびに,
このような苦い経験を思い出します。

その後,制作の仕事で,
司法書士試験が国家試験となった
昭和54年以降の不動産書式の本試験問題を
すべて見る機会がありました。

平成7年以前の古い過去問は,このとき初めて見ました

そのとき,平成20年の問題も,
昭和時代の過去問を検討していれば
解答可能であったのではないかと思いました。

たしかに,これら初期の過去問と異なり,
平成20年の問題は,別紙の数が16と多いうえに,
既に述べたように,登記申請すべき事項を
別紙からすべて探し出すのが
困難となるような仕掛けが施されていました。

しかし,抵当権の登記名義人を
消滅会社とする吸収合併が,
抵当権の解除契約の前になされていたことを
別紙中の登記事項証明書から読み取らせ,
抹消登記の前提としての合併による
抵当権の移転登記の申請書を作成させる問題は,
昭和61年本試験に出題されていました

また,根抵当権者が初めから誤った住所により
根抵当権設定の登記がされていたことを,
別紙中の根抵当権者の登記事項証明書から読み取らせ,
根抵当権債務者の相続による根抵当権変更登記,
指定債務者の合意による根抵当権変更登記の前提として,
根抵当権登記名義人住所更正登記の申請書を書かせる問題が,
昭和58年本試験問題に出題されていました。

また,これら昭和の2つの過去問もふくめて,
平成7年までは,別紙のみから登記すべき事実関係を
読み取らせるという出題形式がとられており,
平成20年本試験問題において,
突如この出題形式が復活したという経緯であったため,
これらの過去問を検討していれば,
平成20年本試験問題も対応可能でした。

このように,平成20年本試験問題は,
昭和時代の過去問と同様の出題形式がとられていたうえに,
問われている論点自体は,
既に述べた昭和の2つの過去問と類似のものであった点からすれば,
平成20年本試験問題も,
昭和時代の過去問の焼き直しであったといえます

択一過去問の検討が司法書士試験突破のために
必要であることは受験界の常識となっておりますが,
書式についても,このように過去問の
焼き直しの問題が出題されることがある以上は,
択一と同様,過去問の検討が必要であるといえるでしょう

ところで,昭和時代には,
名変登記のバリエーションとして,
昭和58年には登記名義人住所更正登記が,
昭和62年には,名変登記と仮処分による抹消の
組み合わせが出題されていました。

平成20年に続いて,
平成21年,24年にも名変登記が出題された点,
本試験の不動産登記書式の問題において,
過去問の焼き直しが出題されることがある点からすれば,
これら名変登記の派生論点についても
再度確認されると良いでしょう。

昭和58年の問題については,
すでに述べましたが,この年の問題では,
別紙登記簿に示された根抵当権設定登記の受付年月日と,
別紙登記事項証明書に示された
根抵当権者の本店移転の日付の前後関係から,
初めから誤った住所によって
根抵当権設定の登記がされていたことがわかり,
根抵当権登記名義人住所更正登記の申請書を
作成しなければならない点がポイントとなっていました

この変更登記と更正登記の区別は,
択一知識としては当然の論点ですが,
書式の問題として訊かれた場合にも正確な判断ができるよう,
今一度確認をしておきましょう

また,昭和62年本試験では,
判決による所有権移転登記を,
登記権利者からの単独申請で行いたいものの,
登記義務者四谷商事株式会社の登記簿上の住所が
登記申請時における登記義務者の住所と
異なっているという事案になっていました。

この登記権利者は,
所有権移転登記請求権を保全するために,
当該不動産につき処分禁止仮処分をうけていたのですが,
当該処分禁止仮処分に後れる所有権移転登記がなされており,
登記名義が登記義務者四谷商事株式会社から,
第三者である丁川花子に移されていました

このとき,判決により所有権移転登記を申請するには,
前提として,登記義務者四谷商事株式会社につき
所有権登記名義人住所変更登記を申請する必要があるのですが,
名変登記は,
現に登記名義を有する者についてしか行うことができないため,
仮処分に後れる所有権移転登記の抹消をすることで,
登記名義を丁川花子から四谷商事株式会社に戻してから,
登記義務者四谷商事株式会社につき
名変登記を申請するという順番になります

このような場合,
登記名義を失っている登記名義人の名変登記を
いきなり申請することはできないので,
注意しましょう

当時の出題では,
これらの登記を,この順番により申請することは,
答案用紙を見ればわかるようになっていましたが,
このようなヒントがなくとも,
登記申請の順序を自分で判断できるよう確認しておきましょう。

このように,過去問の検討を行っていれば,
名変登記のように,
過去問頻出の論点でありながら普段の勉強では
手薄になりがちな分野についても確認することができますし,
今後の出題が危ぶまれる問題をおさえることもできます。

受験生の皆様も,この記事をきっかけに,
過去問の検討の重要性を認識していただければ幸いです


二階堂 洋生

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