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zoom RSS 「代理権限証明情報としての委任状・包括委任状(後編)」:正橋史人さん

<<   作成日時 : 2014/05/09 00:08   >>

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3、包括委任状はどのような場合につかえるか(下部移譲の場合)

さて、前回の記事1に書いたように、
委任事項は具体的に書かなくてはなりませんが、
それは登記官の審査の都合上、
そう書かなければわからないから
という手続上の理由からでした

「不動産の購入の権限および
当該購入に関する登記申請に関する権限」
などという委任状がある場合、
それはそのように委任しているのはわかるが、
申請された本件登記申請についての委任は
本当にあったのかわからない

だからそれだけではダメということです

しかし、先例の中では、
例外的に包括委任状における登記申請を認めているものがあり、
特に「登記申請業務の下部移譲」については、
昭和59年11月12日民三第5756号民事局第三課長回答
で認められています
(この先例は住友銀行に関するもの)。

つまり、金融機関の代表取締役が
各支店の支店長に包括委任状で委任し、
各支店長が司法書士等に、
個別具体的な事項の委任をする方式です。

つまり、ある銀行の代表取締役とその支店長は、
「○○銀行」の上部機関と下部機関ということであり、
同一人とも言えるので、
上部機関と下部機関への委任は
包括委任状で差し支えないということです
(その下部機関から司法書士等への委任については、
個別具体的な記載が必要)。

まあ、同じ会社の中で下部の機関に委任するのだから、
当然OKと考えられると思います

何故このようなこと(下部移譲)をするかというと、
組織の内部の押印のルールの都合上、
そうしたほうが効率的という判断なのだと思います


4 包括委任状の取扱い(管轄ごとに異なる取扱いをしている)

しかしこの取扱いは、
なぜか東京管内の法務局ではダメとされています

具体的には、下記リンクの記事参照
http://next-stage.at.webry.info/201012/article_8.html

「包括委任状を利用できる銀行は通達で限定されており、
今回の銀行は通達が無い以上、
包括委任状は利用できない」という理由で、
ダメと言うそうです

ちなみに、上記リンクの記事のように、
千葉管轄では大丈夫です

なお、「増補 不動産登記先例解説総覧」
p308参照/登記研究編集室 編 / テイハン 1999
の313ページに次のような記述があり、

(引用ここから)
登記申請権限を第三者に委ねる場合とは別に
委任状により株式会社の代理権を有しない
下部組織に移譲することについては、
既に昭和34年6月19日民事甲第1267号民事局長通達
(三井物産株式会社が取得した不動産の
所有権、抵当権に関する登記申請権限を
支店長に委任するもの)によって認められており、
更に包括委任状により下部機関に移譲することについては、
(中略:先例の記載がある)により認められている。

このことから、
金融機関である銀行が取得した
担保権の設定等の登記申請権限を
下部機関である出先機関の長に
包括委任状により委任することも
同様に受任者との関係が代理機関と同視し得るものとして
認めて差し支えないものと解される。
(引用終わり)

とあります

この記述だと、
「株式会社の代表取締役が
下部機関である出先機関の長に
包括委任状で権限を委譲すること」は、
概して問題ないと言うことになりますし、
理論的にも問題ありません

「登記研究編集室」が編者とありますが、
これについては、
編集に法務省が関与しているものであるようであり、
その内容とも齟齬があります
 
これは、
「登記申請業務の下部移譲」について、
「原則OKであり、
先例の照会は確認のためにしたもの(例示列挙)」
とするか
「原則NGであり、
先例で照会してOKが出たもののみがOK(限定列挙)」
とするかの話だと思いますが、
東京管内での限定列挙的な取扱いは、
いささか手続的に硬直的すぎるといわざるを得ないと思います

実体上を考えると、
登記申請業務の下部移譲は全く問題ないと思いますし、
そのような包括委任状を実際に出された場合に、
その金融機関が先例で認められている会社か、
そうでないかを調べる手段がほぼないわけで、
そうした中で司法書士にその判断を求めるのは酷だと思います


とはいえ、これを知った場合、
東京管轄に出す場合、金融機関にお願いして、
代表取締役からの個別具体的な委任状を
出してもらうことになるわけですが、
法務局ごとに取扱いが異なるのは、
どうにかならないのかなぁと思います


正橋史人

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